black midi
HELLFIRE
14歳のTHOM YORKEは思った。black midiになりたい。教室の中のいつもの僕のように俯くことはなくステージで胸を張る。そして堂々とサングラスの上から観客たちを覗きこむ。少々見下ろしながらね。それは決して偉そうな意味じゃないんだ。少しだけそうしたいだけ。相変わらず少ないお小遣いのせいで父親のコレクションからジャズやミュージカルやTVショーのサントラのレコードばかり聴いていたから自分でも頭でっかちで小難しいフレーズを反復ばかりしてると思うけど許してほしい。それにしても貧乏ゆすりを注意する担任のため息だけは勘弁してもらいたいよ。「何笑ってるんだ」って胃がキューとなってるのをどうにかしたい苦笑いさ。子供の僕らでさえ多少の気遣いは出来るのに大人はなぜ何にも気づかないのだろう。風が吹けばきっと雨は降る。折り畳み傘はバックに入ってる。この折り畳み傘はちょっとした僕のお気に入りで骨の部分、少し説明すると骨は親骨と受け骨の2種類があってつまりその受け骨の部分を止めている紐がしっかりとして力強いんだ。明らかに紐が太い。なのに僕の傘はその辺の傘にはない気品が漂っている。おそらくそれは尖ってみえて良く見ると丸みがちゃんとつけてある露先(骨の先の部分ね)や玉留め(ハンドルの上のギザギザの丸い部分)がさりげない金色なところとか、あとえーと色々全てなんだけどつまりそういうところさ。力強いのに繊細なんだ。まるでジャズや諸々のショー・ナンバーが兼ね備えてるものと一緒。人々を躍動させたり時には悲しみを共有する。そのためにはリーダーでありながら時には友や部下に寄り添う同士でなければいけない。なのに...そう!ここが大事なところなんだよ。華やかさ!華やかなんだ。ミュージカルスターや大人気のTVシ...